要の恋人

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「とりあえず、今日は電話して面接できるように頑張るよ」 「そうか」 「つばめは休み…だよね?」 つばめは頷く。だからこれから要が一緒に住むなら服とか日用品とか一緒に買いに行こうと思ったのだ。けど本人が就職活動にやる気に満ち溢れている今、一緒に出掛けようと声をかけるのはやめようと思った。 「こんなに気持ちよく朝を迎えれたのは久々だよ。休みだったらもう一眠りして起きたら夕方だし、平日は絶望的な気持ちになるし」 「つばめ…」 「そんな深刻そうな顔するなよ。要も一緒に住むことになったし、掃除とかしようかな。トイレや風呂は気になるからしてたけど他は全くと言っていいほど…」 つばめは部屋を見渡す。埃っぽい…よな。掃除機かけて、雑巾がけして。部屋の空気も入れ替えたほうがいい。誰かと住むということは自分だけが住めればいいという考えは捨てなくてはいけない。けどその考えを捨てることは嫌ではない。本来の人としての生き方を取り戻せると思うと要に感謝してもいいくらいだ。
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