要の恋人

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「つばめー!受かった、受かったよ!明日から働くことになったよ」 弾むような声を上げながら軽やかな足取りでリビングに入ってきた。 満面の笑みで。 つばめと…あかりが待つリビングに。あかりがいるなんて知らずに。 「…えっとなんでここに」 要はつばめを見なかった。いや、視界に入ってすらいないみたいだ。要の前に姿勢よく、挑むような眼差しで立つあかりがいたら…逃げたくても逃げれないのだろう。声なんて平静を装えなくて震えているし。 「要としっかり話がしたくて上がらせてもらったの」 正確には押しかけられたんだけど。都合よく解釈するよな。もう何度目かのため息が出そうになる。 「何があったのか分からないけど、さ。とりあえず、荷物置いて座りなよ」 そう言いながらもつばめはこの場にいないほうがいいのかもしれないと思った。この家の主だけど、別の部屋に話が終わるまで待っていたほうがいいのかなあ。あかりは話に決着つけるまでこの家から追い出そうとしてもてこでも動かないと思うし。
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