要の恋人

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「言いたいことはきっちり言いなよ。時間かかってもいいからさ」 できるだけ優しく要に言ったつもりだ。言えなくなるぐらい委縮してしまってる要に強い言い方はできない。 「うん…」 かろうじて頷いたものの、「あーちゃんだって」の先を言わない要。気になるが長期戦になるのはもう覚悟はついた。つばめはソファーの端のほうに座り、リビングの入り口近くにいる2人を見つめた。 「私が言いましょうか。要が言えない胸の内を」 「やめてよ!あーちゃん!!」」 悲鳴のように大きな声であかりの言葉を遮る要。そして言葉で遮るだけではなく、あかりの両腕を強く掴み、何度も何度も「やめて」と懇願した。けどそんな要を見てもあかりの目はさざ波一つ立てない海のように凪いでいて、対照的な構図が出来上がる。
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