要の恋人

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けど要はここまでされたのに何も対抗しようという行動をしない。「痛い」とも「やめて」も言わない。こうされても仕方がないと、むしろこれで済むならどれだけやっても構わないというような昏い目をしていた。自分の心の内をさらされるくらいなら体の痛みのほうが耐えれるのかもしれない。要は昨日会ったばかりのつばめにすら聞かれたくないようなことを心の内に隠している。 「…そう言って何度目よ」 あかりは拳をやっと降ろした。要の頬も腫れているがあかりの手も赤くなっていたそうだ。しかしあかりも手の痛みより心の痛みのほうが大きいようだ。 「私は要のこと、ずっとちゃんと好きだったよ。要しか好きになったことなかったよ」 じゃあ、要が浮気現場を見たっていうのは…? 「ちょっと試したの。昨日の夜、一緒にいたのは私の弟よ。要もちょっとは会ったことあるでしょ。随分前だけど。あの子、あんたと前会ってから背も伸びたし、体格も変わって髪も染めたら別人に見えても仕方ないけど」 そう言ってあかりはスマホを操作し、家族で撮った写真を見せる。その写真を見て絶句してる要を見て昨日一緒にいた男性はあかりの弟で違いないと分かった。
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