要の恋人

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「まさか、あんたも男が恋愛対象なの?!」 うわっっと言うように引く顔をするあかり。今時、そういう同姓恋愛って珍しくもないと思うけどと思うがあかりは無理みたいだ。まあ犬が可愛いと思う人もいれば怖いという人もいるように人それぞれの価値観があるからあかりの考えを頭から否定することはできない。 「いや、恋愛対象は普通に女性だよ」 そう言うと、あかりは明らかにほっとした顔をした。そして小さくしゃがみ込んでしまっている要に「残念だったわね」と嬉しそうに上から言う。要は何も反応しず、床を一点ずっと見ている状態で、どんな気持ちで見ているのか顔がはっきりは見えなかった。 「今回も残念だったわね」 「…」 「でも嫌という気持ちは一切ないな」 気が付いたらそう声に出ていた。要をかばうとかそういうつもりはない。純粋に思った自分の気持ちだ。 「しばらく彼女もいないし、今思えばあんまりいい思い出もなかった気がするし、毎日すっげー疲れながら仕事して頭下げて言われたくない言葉浴びて心が折れて自分、なんで生きてるんだろ、誰のために生きてるんだろ、いないほうがいいんじゃないかと時々思うような日があったから、男であれ、俺のことをいいなと想ってくれたことはやっぱりちょっと嬉しかったりする」
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