要の恋人

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「いいのか?」 あかりが本当に出て行った後、リビングに戻ったつばめは要に聞く。何がとはあえて言わなかった。 「うん」 要は静かに言った。体は抱えるようにしていたけど答えは即答だった。自分の行動は間違っていないというように強かった。だったら部外者のつばめはこれ以上何も言わない。 「僕もやっぱり、出ていく。ごめんね」 「え」 まさかそう答えが来るとは思わなかった。驚くつばめに要は苦笑する。 「だって僕は君にまだ恋してる。あかりの言ったこと、全部本当。結構前からつばめのこと、知っていたし想っていた。ぐったり疲れてる顔を見たらちゃんとご飯食べてるかなって心配になったし、よく電車で眠そうなのを見て可愛いと思ったり…」 そして吐き出すように、泣き出しそうになりながら、 「気持ち悪いでしょ。こんな僕」 と、零した。
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