要の恋人

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「シャンとしろ!」 自分で言ってその言葉がそのまま自分に戻ってくる。つばめの心が震えた。 だってつばめにも今言った言葉が当てはまっているから。 いつも疲れていた。 仕事を言い訳にして、良い人でいたいから自分じゃない失敗も否定せず謝って自分で引き受けちゃって。 疲れたなんて言えなくて。 眠いとも、体調がいつもと違うとも言えなくて。 ただ「断る」という選択ができずによく考えないまま、「引き受けます」って言ってから後悔して終電ギリギリまで働いて。 休日も疲れをとるために死んだように寝てたらいつの間にか終わっていて。 俺、こんなんでいいのかなとか思いながらも、どうすればいいか考えるのが億劫で。 つばめこそ、人生を諦めていた。 要に言える立場じゃないんだ、本当は。
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