要の恋人

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「好きだよ!信じてよ!」 つばめの一言で慌てたりするところから、つばめへの気持ちが嘘でないのは証明される。心の中がこそばゆくなるのを感じる。 「うまく言えないだけなんだ。最初見たときはひどく疲れてて、この人大丈夫?!って感じだったし」 とりあえず一目ぼれではないらしい。けどよく見かける人が、毎回見るたびに疲れた顔ばかりするから心配になって、それから気になったというのが好きになるきっかけの一つだったかもしれないと教えてくれた。 「僕が言えるのはここまで!」 「えー」 これ以上、聞き出そうとしてもきっともう言わないだろう。つばめは食い下がってまで聞こうとすることはしなかった。 今日で要のことを分かったとは思えない。 要はまだ、何か言えないことを抱えているような気がする。なんとなくの勘。でも外れていない自信がある。もしかしたらあかりは知っているかもしれない。知らないかもしれない。けど今は知らなくていいと思った。
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