要の恋人

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「何度も言わないから。これで最後。俺は要の料理に感動して毎日毎食食べたいと思った。胃袋掴まれちゃったんだから、これからも要の料理を食べたいという理由で一緒にいたいって思うのはずるいか?」 つばめは言ってから、たしかにずるい部分はあるなと思う。恋愛として見ていないし、ただ要の料理を魅力に感じ一緒にいたいと言ってると思われても仕方ない言い方だったかも…。要もあかりとの関係はこういうずるい部分があったかもしれない。あかりが提案した可能性だってあるかも。人ってずるい生き物だ。それはつばめも例外じゃなくて。 「ずるいわな」 要がなにか言う前につばめは自分で答えを導き出し、口にする。要がぽかんと口を半開きにしながら固まっている。 「自分で答えちゃうんだ」 「聞いておいてなんだけど、自惚れかもしれないけど、好きな奴相手にそんなこと聞かれて、うん、そうだねなんて言わない気がして。そういう答え方になっちゃうのを分かって聞いて俺がただ安心したいだけだって。そう気が付いたら…恥ずかしくなってきた」 つばめは自分の頬に熱が集まるのを感じる。それを隠したくてつばめは要に背を向け、「喉乾いた」とだけ言い、冷蔵庫に向かった。
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