要の恋人

46/51
前へ
/78ページ
次へ
つばめは冷蔵庫から出した缶ビールを頬に当てる。キンキンに冷えた缶ビールが気持ちいい。あれ、思った以上に頬に熱が集まっていたのだなと思うとまた妙に気恥しくなって頬に熱が集まる準備を始めだす。 「…」 要は今、どんな表情をしているのだろう。ちらりと見る。するとばっちり目が合ってしまった。 「…喉、乾いてるのにビール飲んだら余計、喉乾かない?」 「…いいの」 ビールってそういうものなの?よく知らんけど。ただ予想していなかった言葉をかけられるとは思わなかったのでちょっとだけ言い方がきつくなってしまった。 「…その、飲む?まだ冷やしてるのあるし」 「うーん…。僕、ビール単体だけでは飲めないんだよね。苦いから苦手なんだ」 「そうか」 苦手なんだ、ビール。要のことを一つ知った。けどそれは苦手なもので、一緒に「美味しい」と言えないのは残念だと思ってしまった。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加