要の恋人

48/51
前へ
/78ページ
次へ
「でもきっと一緒にいたら、もっと欲が出ると思う…」 付け足すように要は言う。最後のほうとか蚊の鳴くような声だ。 「僕みたいな変わり者を受け入れてくれるだけで奇跡なのに!それで満足で終わりにならなくてもっともっと願っちゃうんだろう…!」 頭を抱え、ガシガシと髪の毛をかきむしる要。大変悩んでおられますけど、うーん…。そこまで難しく考えなくてもいいと思うけどな。 「あのさ、別にそれって男が男を好きっていう恋愛じゃなくても好きな人に自分の気持ちを受け入れてもらえるって奇跡だと思うし、好きな人と一緒に居たいと思う以上のことを望むのなんて普通だし、おかしくはない。つまり自然だ」 「…」 「まあ、偉そうなこと言ってるけど、要が俺に望んでいることを全て受け入れれるかは分からない。できないこともあると思う。それは先に言っておく。でもさ、それだって男と女でもあるだろ。ここまでは受け入れられて、ここからは受け入れられないとかあるから互いに知って譲り合って合わせて付き合ってる訳だし」
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加