要の恋人

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恋する趣味はないのに、なぜ要に好きと言われた気持ちはこんなに嬉しく感じるのだろう。 「気持ち悪いとかじゃなくて?」 「…うん。自分でもこんな風に思えるのがちょっと意外だわ」 恐る恐る聞く要につばめは穏やかに言葉を返す。 要は確かに男にしては中性的な顔だし、料理や家事が得意だからアリなのか?自分の中のパンドラの箱を開けてしまったのか? …いや、違う。 違うんだ。 今まで向けられた「好き」はどこか裏があった。 金とか都合のいい男とか。 見えてきて、つばめから別れを切り出さなかったから実際付き合ってた長さよりも早く終わっていた昔の彼女たち。 別れを告げられてほっとした。 でも物悲しい気持ちが水たまりに墨汁を垂らしたように黒いものが広がっていくということは澄んだ気持ちに戻れないということだから。
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