ビールとオレンジジュース

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「このビールみたいにさ、要のような考えの人を受け入れてくれる世界になればいいね」 要がはっとした顔をする。まさかここで先ほどの話に戻るなんて思わなかったのだろう。「美味しいね」と言いあいながら飲むだけと思ったのだろう。違うよ、話は逸れたようで逸れてなんかないよ。この話は終わり!なんて言ってないでしょ。 「苦手とか受け付けないとか、ビールだけじゃなくてもあるでしょ。けどちょとした出会いやきっかけで、全然ありになるもんな。それで思うんだ。もっとこの出会いが早ければよかったって。俺と要の出会いも…その…そうだったらいいなと思っただけだ」 ほとんどのない残りを一気に飲み干し、元々飲んでたビール缶を揺らし、あまりにもない冷蔵庫を指さし、「買い物に行こう」と誘った。 「一緒に行くぞ。今日は同居歓迎会と面接受かったお祝いと…未来に向かって頑張ろうとするお祝い…つまりトリプルのお祝いだ。値段とか気にせず好きな物をジャンジャン買おうぜ」 そんなお祝いとか気にしなくても本当は金くらいある。ずっと仕事で休みは寝てばかりいたから財布だけは温かい状態だった。だから何も気にすることはないのだけど要が気にすると思い、敢えて言う。 けど…。
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