ビールとオレンジジュース

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「つばめに迷惑かけたいわけじゃないんだ。なんでか涙が勝手に出て、止まらなくて…」 「いいよ」 買い物はいつでもできる。今の時代、スマホで食べたいものを注文できる。今すぐ買いに行かなきゃいけないものはない。今、しなくちゃいけないことは要の心の涙を流しきることだった。 「頑張ったな」 つばめにはそれしか言えない。もしかしたら言葉なんていらないかもしれない。 共感なんてされたくないかもしれない。 優しい言葉なんて望んでいないかもしれない。 でもつばめには分かる部分も確かにある。 顔色伺う癖がついて本当の気持ちなんてひた隠しして、唯一自分の気持ちを分かる相手にも、本当の意味で理解されることはなくて。 要は本当はつばめを見て自分と似ている部分を感じ取ったから気になったのかもしれない。心配したかもしれない。そうすることで間接的に自分に優しくできた気持ちになれるから…真実は分からないし、これはつばめの中に留めておくつもりだ。
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