ビールとオレンジジュース

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とても温かい会話だった。 つばめはベーコン、カリカリ派だったりする? 野菜は細かく切って作るほうが僕は好きなんだよね。 要の声が近くにいるのに遠くに感じて思わず手を伸ばす。 「どうしたの、つばめ?」 いきなり腕を掴まれたから要はびくっとして目をまんまるにしている。今日のしかも夕方という1日の終わりに気を遣われる行動を自らしてしまうとは。こんなの俺らしくない、あかりが帰った後に要を支えたのは間違いなく俺なのにとつばめは今の状態に困惑する。 「何でもない」 何でもないなら、すぐ手を離せばいいのに要に縋るように掴んだ手が離れない。 「つばめ?」 「なんか今の俺、おかしかったよな?ちょっと今日は早めに寝ようかな」 そう言いつつも、寝て朝が来たら要が荷物ごと姿を消していたら? やっぱり自分の力で一人暮らししたいと言い出したら? あかりと連絡してよりを戻したら? そんな可能性は絶対ないなんて言えない。そう言い切れる自信なんてちっともない。なんでこんなに焦燥感に駆られているのかつばめ自身分からない。
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