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「えっと、何かあったのですか?」
つばめが戸惑いながらなるべく穏やかに聞くとその人物はその場で正座になり背筋を伸ばした。
「突然、すみません。僕、西野院要といいます。怪しい者ではありません!」
そうは言っても人の家の前で蹲っている人物を見て怪しくないと断言できる人っているだろうか?つばめは心の中で首を傾げる。けど要も言いながら同じことを思ったのか、首から下げた社員証みたいなものを見せてきた。
「これで信じてもらえますか?」
確かに証明写真の顔は要だし、その横にしっかり西野院要と書かれている。
「ん?この店って…」
名前の上に洒落た字体で書かれている会社名というか、店名だ。誰もが知っている有名老舗レストラン。星が付くレベルの所だった。
「この店名、トラットリアって…」
「僕が働いていたところです。…でも先月師匠が倒れて閉店して。今日から寮にも住めなくなっちゃって。就職活動しながら住む場所も探してたけど両方見つからなくて。…情けないけど彼女に泊めてもらおうと頼みに来たけど部屋から親し気に僕よりかっこいい男と出てきて。浮気されてたみたいで…」
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