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え?
「あ…、やばい。すっげー腹減った」
竹岡つばめは疲労マックスの体に鞭を打って何とか乗り込んだ終電の電車の座席に座ると自分が乗ってる車両に人がいないことをいいことにぐだりと沈み込むように体を崩す。客観的に見たら酔っ払いのように見えるが、違う。つばめはアルコールを一滴も飲んでいない。さっきまで、地獄のデスクワークに追われていたのだ。
「飲みに行きたい。レモンサワー飲みたい。焼き鳥食べたい。枝豆食べたい…」
最後に居酒屋行ったのっていつだったけ?パッと思い出せたのは去年の忘年会。それも楽しくなかったし。上司の自分が若かった時の話や何度も聞いた武勇伝を聞くのにいっぱいで何食べたのかすら覚えていない。それは行ったにカウントしたくない。居酒屋に行けなくてもいいから家でゆっくり飲んだ記憶は…と思いだそうとしてやめる。思い出そうとしなくても分かる。ずっと毎日終電。そして次の日仕事の時は始発から3番目の電車に乗るような日々。そんな自分に飲む時間なんてないのだから。
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