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居酒屋に着くとそこにはビールを片手に部下と談話している課長がいた。
「おうおう、淳平、よく来たなぁ。今週の成果はどうだね?ええ?」
課長はどうやら酔っているらしい。少し酒臭い。
普通こういう時は部下が断れず飲んで酔ってしまう感じだと思ったのだが。
しかしすぐに合点した。社長がいたからだ。
「君たちが働いてくれてこっちは賑やかになるねぇ。頼もしい戦力が増えて何よりだ。さぁさぁ、大物の報酬だ。ジャンジャン飲んでくれたまえ」
「はぁい!カチョー、いっきまーす!」
この調子だと明日は仕事ができなそうだ。
「あ、すみません。ウーロン茶」
「はい、ウーロン一つ!」
すると課長が絡んできた。酒臭い。
「まだ酒が飲めないのかい。お子ちゃまですねぇ」
「すみません。下戸で酒を飲むと頭が……」
「いいからぁ、飲みなよー」
これが俗にいう断りにくいやつか。
「じゃ、じゃあ一杯だけ」
「まぁまぁ、獅郎クン。部下に嫌われても知らんぞ?」
「いいじゃないかー。飲むって言ってるんだからー。ささ、グビーっと」
「獅郎クン──」
「はぁい!ジャンジャン飲みまーす!」
「──クビー」
飲んでしまった。
「すみません。ちょっとトイレに……。ノルマは送っときましたん……で。お願い……します……」
トイレで嘔吐した音は聞こえてないといいが。
翌日、飲んだ量が少量だったため仕事はこなせた。そして課長が職場に来てすぐ追い出されていくのを見た。ある意味公開処刑だ。ドンマイ。最後に残した言葉は、しじみ汁は飲む前に飲め!だった。
そして家に帰って気づいたのだった。
職場での仕事を忘れた──。
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