クビの危機

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クビの危機

──を取りに行かねば。 ノルマ提出は明日まで。期限を過ぎたらおしまいだ。 本当は三回までセーフなのだが会社に休みの電話を入れ忘れ三回を使い切ってしまっていた。 俺は靴の踵を踏んで外に出た。 ここでは陽が沈むことがない。白夜というやつだ。 職場へと急いで戻る。 職場へ着いた。 夜勤の者かまだ電気がついている。 そんなに仕事詰めでイヤにならないのかと思う。仕事が好きなわけあるまい。偏見か。生きている間は楽しんで過ごしてほしいものだ。 十階、九階、八階と下がって行き、七階の一室にたどり着いた。ここに忘れ物がある。 部屋の中に入ると忘れ物はなかった。 ──おいおい、嘘だろ?遅かったか。 淳平は部屋を飛び出し廊下を見渡した。 自分の探しているものは他とは異なって半透明だ。 少し質は落ちてしまうが仕方ない。どうにか誤魔化そう。 しかし、七階のどこを探しても見つからなかった。 背中に冷や汗が流れるのが、鼓動が速くなるのが、手が汗で滲むのがわかった。 一階へ猛スピードで向かう。一階にはリストが置いてありそれを見ればどんな動きをしていたか見ることができる。 そう思っていた。 ──くそっ、パスワード?そんなもの知らないぞ。 最近のは全てクラウドだのインターネットだの横文字を多用する現代人のせいでアナログの僕が扱えなくなっている。 頭を抱えたその時、順平の視界の隅に半透明の物体が動いた。 「見つけたー!」 忘れ物を見つけ出し、急いで郵便局へと向かう。 「これ……梱包よろしくお願いします」 「承りました」 ──た、助かった……。 無事、事なきを得てクビの危機は免れた──はずだった。 翌日、俺は飛ばされた。
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