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朝、事務所に行くと張り紙がされていた。
『──下記の事由に基づき、近藤淳平は本日付で解雇することを通知します──』
「え?クビ?そ、そんなはずは……」
まず心が沈んでいくのがわかった。次に体が沈んでいった。
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ちょっと、水野クン。こっちに来たまえ」
「なんでしょうか?」
「これ、少し質が落ちてるじゃないか。一体どうし──」
「あっ!忘れてた!」
「何を忘れてたのだ?」
「あ、いやなんでもありません。ただ朝ご飯にりんごを……」
「今思い出さんでも良かろう。まぁまだ一回目だから許すがあと三十回したら落ちるからな」
「すみませんっ!」
「よしっ、戻ってよろしい」
水野は思った。俺昨日岩田さんの忘れてたー。でもなんで運ばれてたんだ?まぁいっか。クビにならなくて良かった!
朝のこと──。
社長が配達リストを見るとまだ運ばれてないのがあった。
「ん?平野……淳平のだな。よし、クビだ。また一人失ってしまったがまぁいい。代わりはいくらでもいるしな。まだ元気のある者はこちらへ運ばれる。そうして会社は安泰。ここでの暮らしも悪くないな」
そうして朝、張り紙が出されたのだった。
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