名もなき国と仕事

仕事

彼らは今日も天と地の間にある名もなき国の事務所から職場『病院』へ向かう。
そして、昨日死神が来た病人の元で待つ。
死期が近づいてくると特有の甘い匂いがする。
そうしたら胸の辺りから半透明の魂を抜き出す。
魂は傷つきやすいため普段は体の奥にあるがこの時は丸裸なので専用の水槽に浮かばせて運ぶ。
こうして病人を周っていく。

魂は事務所に送られると一旦地獄に送られる。
その時魂は人体の形へと変わっていく。
そして戻ってこない魂は天国か地獄に行く。
戻ってきた魂はまだ元気のある魂で働いてもらう。

回収されなかった魂はどこへ行くかって？
この世とあの世のきわを彷徨い続け、痛み、苦しみ。そんな声を上げる。永遠にね。

ここに来たみんなが言うよ。
また仕事か。またか。って。
やっぱり生きてる間くらい楽しまなきゃね。

もちろんクビになった魂は地獄行きだ。
天国に行く方法？
与えられた期間仕事をしっかりこなすこと。
若い魂は五十年、老いた魂は十年くらいだ。
ま、そんなのは口だけだけどね。