日常

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日常

「ただいまー。仕事終わったよー」 「ご苦労様。じゃあ後で」 「うん。『ノグチ』集合ね!」 ノグチは二人行きつけの居酒屋である。 「ただいまー」 と扉を開けると同時にいうが返事はない。 一人暮らしだから当たり前だろう。 両親の家に住み着いても良かったが、一人暮らしというものに憧れを持っていた。 一人暮らしは自由時間が限られる。 両親の怒りを買うことは日常茶飯事で嫌になり一人暮らしを始めすぐに両親のありがたみに気づいた。 自分で稼がねば生きていくことはままならないし、家事も一人でやらなければならない。これでは実家の方がマシまである。 しかしすぐに帰ると両親が僕を臆病者だのイジられるに違いないからこうして一人暮らしを続けているのであった。 黙々と家事をこなし──とはいかないが初期よりは随分マシになった。 家計簿を見るたびに貯金を貯めることのできない自分に頭を唸らせながら今月の残高を記入していく。 最近の献立は肉じゃが──とか言ってみたいものだが居酒屋で済ませてしまうので自炊はあまりしない。お陰ですぐに貯金を崩す羽目になる。 自分にガッカリしながら家を出て居酒屋へと向かった。
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