93人が本棚に入れています
本棚に追加
愉しげに揶揄ってくるから、言い返そうとすれば、『関係ない話は終わりな。早く書け』と、突如、仕事モードで一喝された。
「なんでそんなに急かすのよ…」
『今日中に達成するって決めてんだわ』
「ノルマみたいに言わないで」
言いたい事は山程あるけど、ついつい誘導されるままにペンを取ってしまう。
「なんか…悪徳商法に引っかかってる気分…」
『ははっ…違いないかもなー』
なんだろう。不思議と逆らえないこの感じ…。
ああ……、分かった。
――――この目、なんだ。
余裕たっぷりに見える、見透かすような瞳に、この表情…。
仕事中にも見せるお馴染みのそれに、ドキドキ…と胸は高鳴るのだけれど―――――…
「もしかして、今も緊張してる?私が断るかも…って不安?」
『………おい、暴いてくんな?』
ピクリと顔を引き攣らせたのを見て、図星だな…って。
「へぇ…なんかちょっと分かってきたかも。じゃあ、意外と今でも仕事で緊張することあるんだ?」
『………麻里ちゃん、早く寿退社しよっか?』
「大丈夫、言わないよ。ちょっと嬉しくなっただけ」
『めちゃくちゃ笑ってるの、なんで?弱みでも握ったとか思ってね?怖いんだわ…』
「そんなわけないでしょ」
最初のコメントを投稿しよう!