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一人で勝手に話を進める蒼にツッコめば、ははっ…と、屈託なく笑う。
やばいな、ほんと好きだ…。
言ってること、馬鹿だけど。
デリカシーの欠片もないけど。
だいたい、なんでこの男はこんなに自信満々なんだ?
だけど、もう…強がりも限界だ。
顔を固定されているせいで、背けることも叶わず、正面から対峙するそれにドキドキは最高潮。
『けど、俺に会いたいな…とか思っただろ?』
「……うん。それは……ちょっと…思ったけど…」
『かわいいね。恥じらってんのもそそられる。ん?今からベッド行きたい?』
「誰もそんなこと言ってない…」
『いいよ、隠さなくて。すぐに俺なしじゃいられなくなるから。でも、ちょっと待ってな。大事な話があるのよ』
「……なに話って?」
頬から手を離した葵は、無言で私を見下ろした。そして、伏し目がちに数回、瞬きした後………、
『麻里、結婚しよう』
「え?」
『あ、やっべ……間違えた。今のなしなし!忘れて?ナシな!』
「何言ってんのよ」
『焦ったわ…。もう一回仕切り直させて』
と、不可解な台詞の後、『こっち。この辺まで来て。もう一回な…』なんて言って、私の手を引っ張って部屋の奥まで移動させると、自分は窓際のクリスマスツリーの横に立った。
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