魅惑のMerry Xmas

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スーツのポケットに手を入れ、すっと小さな箱を取り出して。 それを開けると、私の前に差し出した。  「え……、まさか…」 『うん、そのまさか』 キラリと光るその石はこれからの言葉を予兆する。 『佐原麻里さん。俺と結婚してください』 キラキラした夜景とツリーをバックに、余裕たっぷりの、それでいて真剣な瞳が私を射抜くから――――――――… 視界はあっという間に滲んで、何も見えなくなってしまった。 すでに涙腺が崩壊してる。 こんなの唐突すぎるんだって…。 「…………はい」 声を振り絞って、小さな声で返事をするので精一杯。 『麻里ちゃん、結局泣いてんじゃん』 「だって……、これのために仕事放り出して帰って来たの?」 『もちろんそうだよ』 「信じられない…。私のことなんかなかったじゃん。いっつも仕事が一番のくせに…」 『アホか。ずっと麻里が一番だわ』 「何処がよ!?今までドタキャンばっかじゃない!それに、私…、また浮気してるのかと思って…」 『また(・・)って言うなよ!もうしないって言ったじゃん、一応…。それにあれは未遂だし…』 「そんな話してないのよ!馬鹿!!だいたい、ビデオ通話に出ろ!アホ!!」 『悪い悪い。けど、出たら帰って来てるのがバレんじゃん』 サプライズだからいいんだろ。記憶に残したいじゃんな?…なんて、人の気も知らないで、勝ち誇ったようにニヤリと笑う。
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