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だって、蒼にはそんな感情がないと思ってたんだもん。
いつも自信満々で。余裕な顔で何でもこなして、仕事最優先で、誰よりも結果を出して。
だから、私とは違うんだな…って、少し寂しくて。
いつか置いていかれそうで怖かった。
寂寥感に代わり、じわじわと心を占領する幸福感に包まれて、普段なら言えないような言葉が溢れてくる。
「私だけが知ってるのがいいんじゃん。私だけの蒼だって思いたいもん」
『急に可愛いこと言うのナシだわ。溺れ死にそう…』
背けた顔がちょっと赤い。
またしても初めて見る表情に、蒼を今までよりもずっとずっと近くに感じる…。
「………書けたよ。これからも宜しくね」
全て埋めると、それを手に取った蒼は『やったね。お前の一生、俺のものじゃん!』なんて、ご満悦で。
「言っとくけど、浮気したら離婚だからね」
『それは麻里も俺に飽きられない努力が必要じゃね?頑張ってね』
「おい、クズ男…」
『嘘嘘、麻里ちゃんだけに決まってんじゃん♡』
ただし、一生この男から目を離せないのは間違いない。
『さて、麻里ちゃん。大事な話も終わったし、一緒にお風呂入ろっか?…ん?それとも、待ちきれないから今すぐ愛し合う?』
「他に言うことないの?」
『ドレス姿かわいいね。最高。脱がし甲斐があるよ』
「最低…」
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