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――――12月24日
高級ホテルの最上階のレストラン。
こんな日でもないと来られないから、存分に楽しむことにする。
『ごめんね、莉乃。急に誘っちゃって』
「全〜然。振られたばっかで暇だもん。中條のおごりだし、私は嬉しいよ』
同期で親友の山内莉乃。
何年も付き合っていた彼氏と別れて随分と落ち込んでいたけれど、にっこり笑ってこんな冗談を言えるくらいには吹っ切れたみたい。
真面目で責任感もあって、仕事も家事も何でもできちゃう。
しっかり者で面倒見のいい性格の彼女には、これまで幾度となく助けられてきた。
こんないい女を振るとか、あの元カレのエリート野郎め、滅びればいいのに…と思う。
『でも、残念だったね。こんな日に出張入るとかさ…』
「別に驚かないよ。いつも通り。どうせ絶対案件じゃなくてもアイツは進んで手を挙げるでしょ。これまでに何度デートがドタキャンされたことか…。今回だって、ろくに謝りもしないの。いつもの心なんかこもってない『悪い』の一言だけ。むかつく…」
『まぁね…、けど、あれだけ仕事できちゃったら、別格っていうかさ…』
「そこも腹立つところなの!仕事だって言えば、何でも許されると思ってない?」
『あー…そういうとこあるかもね』
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