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絆されたとはいえ、すんなり行かせた私も馬鹿だった。
「折り返しもないあたり、確定なのよ。クリスマスのドタキャンは流石にないよね。あーあ…悔しいな…、まんまと作戦に嵌まろうとしてた…」
ぶちまけた私の本音に、少し考えた素振りを見せた莉乃は、でもさ、麻里…と。
『この部屋さ…、単なるスイートじゃなくて、角部屋で人気のプレミアムスイートルームとかいうやつなの。結構前から予約しないと、多分取れないよ?あと、ディナーも。普段でさえ1ヶ月くらい前から余裕で満席なのに、クリスマスイヴなんて直前に取れるわけがないと思う』
「………なにそれ?じゃあ、用意周到に浮気相手と…」
『そんなわけないじゃん…、麻里のためでしょ。付き合って初めてのクリスマスじゃんね?』
「じゃあ…、この日のために前々から準備してくれていたってこと?蒼が?」
『そりゃそうでしょ。本当は麻里と一緒に来たかったんだと思うよ』
「まさかの蒼が???なんだけど…」
『そう?あんまり伝わってないの?中條って、いつも会社でウザいくらい惚気てるよ』
「え、なにそれ嫌だ」
そんなの知らない。初耳だ。
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