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最近の蒼は外出ばかりだから、知らなかった。
何してんのよアイツ…、会社でやめてよ…なんて思ったけど、同時に胸の中には熱い何かが流れ込んでくる。
あーあ…、もう…。
惚れた弱み、なんてよく言ったものだと思う。
こういうことを考え出すと駄目なんだって…。
やっぱ好きだなって思うじゃん。
会いたくてたまらなくなるじゃん。
イヴでさ…、最高級のホテルでさ。
美味しいご飯を食べて、めちゃくちゃ豪華な部屋で、キラキラしてる夜景を見て…。
もちろん、親友と一緒で楽しいよ。
楽しい、けどさ――――…
一緒にいられると期待していた分、寂しいな…って思うじゃない?
そばにいて欲しかった…って思うじゃない?
それに、だ。
目の前にあるテーブルには、高級感たっぷりのシャンパンがあったり、真っ赤な薔薇の花束が置かれていたりと、勘違いして気取った蒼のやりそうなことが散りばめられていて余計に恋しくなる。
『あ……やばい!』
「え、どうしたの?」
『クリスマスケーキ!予約してたの忘れてた』
「ケーキ?そっか、急に誘っちゃったもんね…」
莉乃は時間を確認すると、「よかった。ケーキ屋さん、まだ間に合いそう…」と。
「ちょっと行ってきてもいい?」
『うん、一緒に行こうか?』
「大丈夫、近いから。じゃ、行ってくるね!」
コートを羽織ると、莉乃は慌ただしく出て行った。
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