余計なお世話

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 それから数週間が過ぎた。  新しく騎士団特殊部隊の団長となったアリクは、あっという間に特殊部隊の騎士たちに馴染んだ。  若いということから、年上の騎士に嫌がらせを受けないかとエベルレイはひそかに心配していたものの、彼は元々年上に取り入るのが上手い性格だったらしい。  彼は年上の騎士からも可愛がられる、弟分的団長という立ち位置をあっという間に手に入れたのだ。 「……ふぅ」  事務室からぼんやりと騎士たちの訓練を見つめ、エベルレイは息を吐く。  そうしていれば、事務室の扉が開き「エベルレイ」と名前が呼ばれた。そちらに視線を向ければ、そこには扉の近くの壁に背を預けるセシリアがいた。 「……どうしたの、セシリア?」  彼女にそう声をかければ、彼女は面白そうに笑う。その後「……まぁ、なんてことないんだけれど」と言いながらエベルレイの方に近づいてくる。その足取りは、とても軽い。 「……お茶でも出そうか?」 「お構いなく」  手のひらをひらひらと振りながら、セシリアがそう言う。  だからこそ、エベルレイは立ち上がってお茶を淹れに動く。事務室には簡易とはいえキッチンが設置されている。とはいっても、本当に簡易的なものなので、美味しいお茶を飲もうと思うと外に出た方が良いくらいなのだが。 「ところで、アリク・ウォルジーとは会ったかしら?」  ころころと笑い声を上げながらセシリアがそう問いかけてくる。  その所為で、エベルレイの手が止まった。
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