余計なお世話

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「……もうすでに会ったわ。事務官と団長だもの。嫌でもかかわってしまうわ」  首を横に振りながらそう言うと、セシリアは「……そういう意味じゃ、ないんだけれどね」と言いながら応接用のソファーに腰を下ろす。 「どうにも、アリク・ウォルジーは貴女にご執心だと、うわさに聞いたから」 「……何それ」 「そのまんまの意味よ」  セシリアの目の前にお茶を置くと、彼女はそのお茶を口に運ぶ。  その仕草はとてもきれいであり、見惚れてしまいそうだ。 「アリク・ウォルジーはどんな美女に告白されても、頷かない。挙句の果てには『俺には心に決めた人がいますので』という」 「……それのどこが、私と関係あるのよ」 「あら、アリク・ウォルジーが自主的に話しかける女性は貴女だけだからよ」  さも当然という風にセシリアがそんなことを言って肩をすくめる。  ……その言葉は初耳だったので、エベルレイは大きく目を見開いてしまった。 「その調子だと、気が付いていなかったの?」 「……まぁ」 「貴女、仕事熱心なのはいいけれど、もう少し交友関係を広めた方が良いと思うわ」 「余計なお世話よ」  エベルレイは仕事の鬼だとか言われ、同僚から遠巻きにされていた。そんなエベルレイに臆せず話しかけるのはセシリアだけであり、その結果エベルレイには友人と呼べる友人がほとんどいない。職場の友人などセシリアだけなのだ。 「今日はそんな無駄話をしにきたの? だったら、帰って頂戴」
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