2449人が本棚に入れています
本棚に追加
もういいや。
逃げよ。
左の壁の出っ張りに足をかけて右上に飛ぶ。
そのまま右の壁をけって上方に向かって飛んで。
右左と壁を踏み台にして下の狭い路地から抜け出す。
10 m ほど登ったところにあった換気扇の雨よけに着地して、ぽかんと僕を見上げている警官を見下ろす。
「バイバイ。おせっかいな警官さん。」
警官が何か言おうとするが気にせず隣の建物の屋上のフェンスに跳ぶ。
ざっとフェンスを掴んで、飛び越えて、下にいる警官に手を振り駆け出す。
屋上伝いにどんどん走って、時には人の家の屋根の上をかけてみたりして、パトカーのサイレンがひびく夜の散歩を楽しんで30分ぐらい経っただろうか。
ブブッ
と電話が鳴った。
着信は『霧谷蒼依』
最初のコメントを投稿しよう!