緊張しすぎた

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「……よし、忘れ物は無いな」  今日は転職先の入社初日。提出する書類に不備が無いよう、家を出る前に再度確認した。  自分は幼い頃から忘れ物が多かった。それで何度も損したことか。今だって、朝起きて確認して見たら記入してない書類が一つだけ見つかり、急いで書いたのだ。  何度も見返し、家を出なくてはいけない時間ギリギリまで確認し、朝の支度もそこそこに、そうして、ようやく、書類の忘れ物が無いことを確信したのだ。 「よし、行くか」  一人で頷き、この日の為にピカピカに磨いた靴を履き、外に出て、キチンと鍵をかけて、駅まで歩いた。  電車を確認し、乗り込み、席に座り、一安心。  何度も確認し、実際に現地まで行ってみたので、この電車は合っていることは確信していた。それでも、間違いなく会社の進行方向へ動く電車の揺れを感じ、ホッと一息ついた。  会社まで一時間。電車に揺られながら、時々駅で止まり乗り込んでくる人の流れを見ながら、ボーッと上を見上げた。  時々、隣に座る人が自分を見たり、こそこそと笑いながら話している様子だったが、気のせいだろう。  
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