オリテ

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「めぐろ…らいきさんでいいのかな?」 座席表と照らし合わせながら訊いてきた。 「はい。目黒蕾樹です。」 「目黒さん、ノート、忘れてしまいましたか?」 中腰になって、優しく問われた。なんだか申し訳なくなる。 「はい。すみません。」 ぶっきらぼうに聞こえたかな?でも、そこまで悪いことをしたわけではないのだから、そこまで謝らなくとも良いと思うのだ。 「大丈夫ですよ。プリントを配りますから、帰ってノートに貼っておいて下さいね。」 にこやかに言って、教壇に戻って行った。   「お待たせしました。それでは、ノートの使い方を説明します。国語なので、ノートは横向きにして…ーー」 先生の説明を聞かずとも、一年のときとほぼ変わらないだろう。 そういえば、あんまりよく顔見てなかったけど、どんな顔なんだ? 顔を少し下向きに片付けて、サングラスの上から覗き込むようにして、裸眼で先生を見た。
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