嘘つき

3/3
前へ
/102ページ
次へ
俺は目黒さんと2人で話させてもらえることになった。 国語科準備室で向かい合って座り、ココアを差し出した。 「目黒さん、なんであんなこと言ったの?」 目黒さんは、ココアにも手をつけずだんまりだ。 「理由があるんでしょ?言わないと、目黒さんだけが悪者になってしまいますよ?」 すると、目黒さんがポツリと言った。 「あいつが嫌いだからです」 嘘だ。そんなことで、この子が人に暴言をいきなりぶつけるわけない。 「嘘つかないで」 急に怒りと悲しさが込み上げてくる。 目黒さんが驚いた顔をして俺を見つめる。 とても悲しかった。どうして本当の事を話してくれないのだろうか。俺はそんなに頼りなくて、そんなに心を開けない相手なのか。
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加