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ホントのこと
よみせんは、今までみたことない顔でオレを見る。
めちゃくちゃ怒ってるし、泣き出しそうだ。
オレはよみせんにこんな顔して欲しかったんじゃない。だけど、その顔もまた綺麗で、こんなときにも見惚れてしまう。
「ごめんなさい」
オレは謝ることしか出来ない。だって、ホントのこと言ったら、よみせん傷ついちゃうじゃん
「どんなことでも、先生聴くよ。だから、言って欲しい」
きっとよみせんは、ホントのこと言うまでずっと訊き続けるんだろう。
「実は…あのおばさんとか…坂本さんとかが…よみせんのこと悪く言ったから…」
オレはよみせんの顔を見れなかった。
よみせんは立ち上がった。出ていってしまうのかと思ったら、こちらへ歩いてくる。
フワッといい香りがオレを包んで、頭を優しく撫でられた。
「そうだったんだ…ごめんね。俺のせいだね。ほんとに…」
オレを抱きしめるよみせんの顔は見えなかったけど、泣いているようにかんじた。微かに震えるよみせんの背中に、オレもそっと手を回した。
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