母さん

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母さん

オレが家に帰ると、母さんはいつも通り晩ご飯の支度をしていた。 「あのさ…オレのせいで呼び出されて…ごめん」 台所の入口でそう言うと、母さんは料理をしながらなんでもない事のように「いいえ〜」と言った。 「怒ってねえの?」 「怒ってないわよ〜。あっちの方も何か言ってるんでしょ?お互い様よ。全く、子供同士の喧嘩で大袈裟よねえ。ほら、お皿運んでって〜」 オレの母さんは偉大だなと、皿を並べながら思った。 てっきりめちゃくちゃ泣かれるか怒られるかかと思ったのに、なんか拍子抜けだ。 でも、ちょっと不安だったから、すっごい安心した。 「あんた、いい先生に恵まれたね!あの場であんな若い先生がきっちり正論言ってさあ。代美原先生だっけ?ほんとありがたいよねえ」 「うん…オレよみせん大好きだからさ」 「珍しいわねあんたが先生のこと好きだなんて。ずっと先生ってうぜーとか言ってたのに」 そうだ。よみせんに出会う前は、教師なんて大嫌いだった。
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