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「あれー案外早く終わったな」
土埃砂埃風で舞う汚いゴミは土煙の中に入る。廃工場の屋上から終着を見届けるのを待っていたがその土煙から勇者のように立ち上がる者がいた。
「だーぁ!!僕まで巻き込まないで下さい!もう少し周りを見て怪獣を倒して下さいっ!」
オットセイ型の怪獣の死体から埋もれて這い上がって来た。キー高い甲高い声でキャンキャン喚く子犬。
「ちょっ無視しないで下さい!怪獣を倒したらここに署名して下さい!決まりですからー!」
「い・や」
「規則なんですー!!如何なる人でもこのS級の怪獣を倒したら署名をお願いします!」
「君が倒した事にしたらー?そしたら君の手柄で出世するよー」
「それでは意味ないのです!僕は自分の力で自分の正義で倒さないといけないんです!だからこれは貴方の手柄ですここに署名したら報酬を貰えます!訳の分からない出処の怪しい依頼より我々のような正式な依頼主からの怪獣倒しを行って下さい!!」
正義やら真面目やらで面倒事を起こして大きくして懲りない集団だ。ヒーローっていうのは。俺は集団行動が苦手な上にこの様な正義感たっぷりのバカ正直僕君(ぼっくん)は気色悪い程苦手だ。
「あとさっきから鳥型の怪獣を倒しながら僕から逃げないで下さい!A級でもその数を倒すのであれば記録として署名にご協力お願いしますー!!」
地上で必死こいて声を荒上げてマニュアルを読み上げている僕君は無視して隣の廃工場へまた隣の廃墟地に点々と空を掛けるように飛び移る。
淡々と飛び移りながら空を舞う鳥型の怪獣や建物と同じくらいの大きさの動物型や昆虫型の怪獣を倒して行く。それが今回の依頼。この廃墟土地の怪獣達を1匹残らず殺してくれ(駆除)の事。だからここにいる怪獣全て殲滅しなければ報酬も何もなくこんなバカ集団に構っている暇はない。
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