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様々な色
幼い頃からわたしは人の顔色を読むのに長けていたと思う。周りの色に染まるようにと心がけていたおかげだろうか。周囲の感情に合わせてわたしも笑ったり怒ったりしていたおかげで、大抵のことは上手くやり過ごせた。スクールカーストの上位とまでは言わずとも、遅れをとることのない立場でいられたのだ。
誰かのことを嫌いと聞けば実はわたしも嫌いなのだとこっそり打ち明け、好きなアイドルの話をしているときは興味津々に話に交じる。
『嫌い』は黒、『好き』はピンク、『楽しい』は黄色、『つまらない』は紫。
まるで布を重ねるように、わたしはたくさんの色を身に着けていった。それがわたし自身の色なのだと疑いもせずに。
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