白乃

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白乃

 鏑木(かぶらぎ)白乃(しの)。    白乃という名前はお父さんがつけてくれた。  何色にも染まる白。ほかのどんな色でも優しく柔らかく染める白。  そんな白い色のような人になってほしいと願いを込めてつけたらしい。教えてもらったときはそんな自分の名前をとても誇らしく思ったものだ。何色にも染まることのできる白の可能性を。周りの人をも優しく染める白の強さを。  だけど……。    今のわたしの色は、何色だろう。
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