白乃

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ

白乃

 鏑木(かぶらぎ)白乃(しの)。    白乃という名前はお父さんがつけてくれた。  何色にも染まる白。ほかのどんな色でも優しく柔らかく染める白。  そんな白い色のような人になってほしいと願いを込めてつけたらしい。教えてもらったときはそんな自分の名前をとても誇らしく思ったものだ。何色にも染まることのできる白の可能性を。周りの人をも優しく染める白の強さを。  だけど……。    今のわたしの色は、何色だろう。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!