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「そういう所が、父さんとよく似てるわよ」
妹の華佳に言われたのは、つい先程の事である。
妻と娘が義母と出かけている隙に、辰実は実家に帰っていた。たまたまリビングで寛いでいた女子大生の妹を"外に食べにでもいかないか"と誘い、市内の商店街にやってきた訳であるのだが。
無計画に"この店でいいだろう"と連れて行った店が、たまたま休業であった。行こうと思った店が休みだった時に、他の店を探すとなると無駄に労力を消費する。華佳にとっては"事前に開いてるかどうか調べれば分かるでしょう"と思ってしまう所で、辰実の思いつきに辟易しながらも近くに開いていた洋食店で赤身のステーキを食べている時にはご機嫌であった。
「最近、父さんの帰りが遅いのよ。」
「母さんみたいな事を言うなあ、華佳は。どうせ寄り道して雑誌でも立ち読みしてるんだろう。」
華佳の話を、辰実は耳だけで聴いていた。手と口はオムライスを切り分けて口に運び、視線の先は商店街の道向かいにあるペットショップ。その視線も、トマトの酸味が玉子のまろやかな風味と重なった瞬間に華佳へと向き直ってしまう。
ペットショップの中が気になったが、食事を終えた後2人はすぐに帰った。
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