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薔薇の花束を最愛なる君に
「俺のこと、愛したこともないくせに」
吐き捨てるように恋人…、いや『元』恋人、巽は俺たちの部屋から出て行った。
仕事で使っていたカバンやスーツまで、荷物は全て置いて行き、後日業者が来てまとめて廃棄するそうだ。
新しい彼氏が日用品から仕事で使うスーツまで、全て買い揃えてくれたらしい。
もう新しいものを買い揃えてくれてたって…、それって相当前から別れるつもりでいたんだな。
俺と付き合っている時に別の奴とも付き合っていたことについて怒りが込み上げてくるより、もっと前に2人の間にできたすれ違いに気づき、話し合いたかったと思う方が強かった。
誰がなんと言おうが、俺は巽のことを心の底から愛していた。
今まで出会った誰よりも、これから出会う誰よりも愛していると誓える。
なのにどうして…。
どこで間違ってしまった…。
俺はずっと、この失恋を引きずって生きて行くんだろう…。
そんなことを思いながら馴染みのバーのカウンターで毎日飲みふけっていると、巽と俺との共通の友達と久しぶりに出会った。
そしてそこで俺は真実を知った。
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