天使の嘴

3/9
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
案の定、会った時に一発殴られ、仕事の内容を伝えられる。 口の中に血の味が広がる。 「俺はお前の事気に入ってんだからなぁ、俺の電話にはスリーコールまでに出ろ」 「……はい」 素直に頷くと、ジョーカーは、殴った頬を撫でて、「ごめんな、痛かったろ?」 と労りの言葉をかける。 「い、いや、俺が…悪いんで…」 思ってない言葉を吐く。 「遼、お前は仕事も出来ていいやつだ。もう少しすれば、今のグループの班長にしてやろうと思ってるくらいだ」 「本当ですか?」 「あぁ。今度の仕事が終わったら、新しいメンバーが加わる。お前のところのグループに入れようと思っているんだ。そしたら、おまえが班長になれ」 「ありがとうございます!」 久しぶりに遼は目をキラキラとさせて、ジョーカーに頭を下げた。 「とりあえず、伝えた仕事を終わらせてこい。何もかもそれからだ」 *** 騙して薬漬けにした女をソープで働かせ(フロにしずめ)、女の彼氏はそいつのマンションで、ボコって口を割らせないようにした。 遼の拳から 血が垂れる。 あぁ、そういえばハンカチを持っていた。 ポケットから出すと、白いハンカチだったのに、灰色と黒のマダラ模様になっている。 「?」 とりあえず血を拭いたが、そんなにポケットの中が汚かったかと、片手を突っ込んでみる。 ……何もついてこない。 おかしいな、と思いつつ、くたばっている男を、もうひと蹴りした。 「誰にも言うんじゃねぇぞ」 そして、玄関の方に振り返った時だった。 あの大きな白い鳥がそこに、いた。 「うぉっ!」 あまりに驚いて変な声が出る。そして、動く事ができなくなった。 そして、動けないのを嘲笑うかのように、手の爪を嘴で挟んで剥がした。 「うぁあ!」 一枚、二枚…と剥がされる。剥がされる度に、悲鳴をあげた。 そして、カパリと嘴を開けると、嘴がまるでペリカンのように大きく伸びた。そして、勢いよく風が巻き起こり、遼は白い鳥の方に引き寄せられる。 鳥より遼のほうが大きい。 しかし、白い鳥はそんなことお構いなしに、一口で遼を食べてしまった。 あっという間のことだった。 自分の骨が折れる音が聞こえる…… *** 「うわぁあ!」 遼が目を覚ますと、グループで住むアパートの一室だった。 心臓が勝手にドクドクと早鐘を打つ。 「な、なんだ…夢だったのか?」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!