5人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
案の定、会った時に一発殴られ、仕事の内容を伝えられる。
口の中に血の味が広がる。
「俺はお前の事気に入ってんだからなぁ、俺の電話にはスリーコールまでに出ろ」
「……はい」
素直に頷くと、ジョーカーは、殴った頬を撫でて、「ごめんな、痛かったろ?」
と労りの言葉をかける。
「い、いや、俺が…悪いんで…」
思ってない言葉を吐く。
「遼、お前は仕事も出来ていいやつだ。もう少しすれば、今のグループの班長にしてやろうと思ってるくらいだ」
「本当ですか?」
「あぁ。今度の仕事が終わったら、新しいメンバーが加わる。お前のところのグループに入れようと思っているんだ。そしたら、おまえが班長になれ」
「ありがとうございます!」
久しぶりに遼は目をキラキラとさせて、ジョーカーに頭を下げた。
「とりあえず、伝えた仕事を終わらせてこい。何もかもそれからだ」
***
騙して薬漬けにした女をソープで働かせ、女の彼氏はそいつのマンションで、ボコって口を割らせないようにした。
遼の拳から 血が垂れる。
あぁ、そういえばハンカチを持っていた。
ポケットから出すと、白いハンカチだったのに、灰色と黒のマダラ模様になっている。
「?」
とりあえず血を拭いたが、そんなにポケットの中が汚かったかと、片手を突っ込んでみる。
……何もついてこない。
おかしいな、と思いつつ、くたばっている男を、もうひと蹴りした。
「誰にも言うんじゃねぇぞ」
そして、玄関の方に振り返った時だった。
あの大きな白い鳥がそこに、いた。
「うぉっ!」
あまりに驚いて変な声が出る。そして、動く事ができなくなった。
そして、動けないのを嘲笑うかのように、手の爪を嘴で挟んで剥がした。
「うぁあ!」
一枚、二枚…と剥がされる。剥がされる度に、悲鳴をあげた。
そして、カパリと嘴を開けると、嘴がまるでペリカンのように大きく伸びた。そして、勢いよく風が巻き起こり、遼は白い鳥の方に引き寄せられる。
鳥より遼のほうが大きい。
しかし、白い鳥はそんなことお構いなしに、一口で遼を食べてしまった。
あっという間のことだった。
自分の骨が折れる音が聞こえる……
***
「うわぁあ!」
遼が目を覚ますと、グループで住むアパートの一室だった。
心臓が勝手にドクドクと早鐘を打つ。
「な、なんだ…夢だったのか?」
最初のコメントを投稿しよう!