5人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「どうした遼。変な夢でも見たか?にしても、お前どんだけ寝てんだよ。2日は寝てたぞ」
隣で寝ていた洋司があくびをしながら話しかけて来た。
「俺、おっきな鳥に、食われて…死んだ…」
それを聞いた洋司はケタケタと笑う。
「遼は普段から仕事がエグいんだよ。その罪悪感からきた夢じゃねーの?」
「…そっか……あんまりにリアルでホントに死んだのかと…」
手を見ると、2日前に殴った男の血が、手の皺や爪の間で乾いている。
さっさとシャワーを浴びて、生臭い自分を洗った。
……いや、やっぱりリアルすぎる。
あの白い鳥。
遼は無言で、手の血が固まっているのを、ゴシゴシ流した。
***
あれから、ジョーカーとの3回目の呼び出し。
その間に命令された仕事を遼はこなした。
「はあ」
勝手にため息が漏れる。
やはり良い悪い関係なく仕事をしていると、ピリピリするものだ。
ポケットに手を入れ、煙草を探す。
「!」
煙草ではないものが手に触れた。
出してみると、あのハンカチだ。
ただ、この前見た時と色が違う、黒の方が多く、広げるとどんどん濃く広がり、染め上がっていくではないか。
広げたハンカチを床にポイと捨てて、前を見る。
「あぁっ!」
白い鳥だ。
あの赤い眼で見つめられると体が動かなくなる。
そして、大きな嘴で脇腹にかぶり付かれて、肉を抉られた。
「ぎゃあっ!」
自分の目の前で腸を突かれる。血がビシャビシャに流れた。
この後は分かっている。俺を食べる気だ。
嘴をパカっと開けると、前と同じ様に遼を吸い込む為に風が吹き、吸い込まれそうになる。
抵抗しようとしたが、結局食べられた。
頭がグシャッと潰れる瞬間を感じた。バットで殴った奴らは、こんな感じだったのかなと変な事を考えながら気を失った。
最初のコメントを投稿しよう!