天使の嘴

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「どうした遼。変な夢でも見たか?にしても、お前どんだけ寝てんだよ。2日は寝てたぞ」 隣で寝ていた洋司があくびをしながら話しかけて来た。 「俺、おっきな鳥に、食われて…死んだ…」 それを聞いた洋司はケタケタと笑う。 「遼は普段から仕事がエグいんだよ。その罪悪感からきた夢じゃねーの?」 「…そっか……あんまりにリアルでホントに死んだのかと…」 手を見ると、2日前に殴った男の血が、手の皺や爪の間で乾いている。 さっさとシャワーを浴びて、生臭い自分を洗った。 ……いや、やっぱりリアルすぎる。 あの白い鳥。 遼は無言で、手の血が固まっているのを、ゴシゴシ流した。 *** あれから、ジョーカーとの3回目の呼び出し。 その間に命令された仕事を遼はこなした。 「はあ」 勝手にため息が漏れる。 やはり良い悪い関係なく仕事をしていると、ピリピリするものだ。 ポケットに手を入れ、煙草を探す。 「!」 煙草ではないものが手に触れた。 出してみると、ハンカチだ。 ただ、この前見た時と色が違う、黒の方が多く、広げるとどんどん濃く広がり、染め上がっていくではないか。 広げたハンカチを床にポイと捨てて、前を見る。 「あぁっ!」 白い鳥だ。 あの赤い眼で見つめられると体が動かなくなる。 そして、大きな嘴で脇腹にかぶり付かれて、肉を抉られた。 「ぎゃあっ!」 自分の目の前で腸を突かれる。血がビシャビシャに流れた。 この後は分かっている。俺を食べる気だ。 嘴をパカっと開けると、前と同じ様に遼を吸い込む為に風が吹き、吸い込まれそうになる。 抵抗しようとしたが、結局食べられた。 頭がグシャッと潰れる瞬間を感じた。バットで殴った奴らは、こんな感じだったのかなと変な事を考えながら気を失った。
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