天使の嘴

5/9
前へ
/9ページ
次へ
*** パッと目を開けると、また布団の中。日付は白い鳥に食べられてから、3日は経っていた。 仕事は洋司が代わりにやってくれて、「すまない」と声をかけると、「お前疲れてんだよ、こんな仕事しといてアレだけど、根が真面目だからさ」 しかし、それだけでは終わらなかった。 何度捨ててもハンカチは帰ってくるし、死ぬ。 そして数日後、どうやってか布団で目を覚ますのだ。 わかったことは、悪いことをするとハンカチはどんどん黒く染まっていき、ある一定の量までくると、白い鳥が現れて、長時間の拷問を受け、苦しんだ上でなぶり殺される。 そんな事がなん度も続いたある日。 ジョーカーがとうとう遼を解雇した。 「ホントなら死んでもらうとこだが、俺ァ、お前が好きだしな。その話がホントならお前は神様か天使か分からないけど、それに選ばれたのさ。その人間を俺が殺したら、俺が殺されるかもしれないしな、どっか人と関わりのない山ん中で暮らしな」 ジョーカーがあっさり白い鳥の事を信じたのは、これまで、ジョーカーを兄のように慕い、仕事は間違いなくこなしてきたからだ。 「……ジョーカーさん、今までありがとうございました。命まで助けてくれて…」 「ま、遠くからでもお前の事は弟だと思って、応援してるよ」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加