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「あの、授業に戻るんですけど?」 「…フッ」 「な、何?」 「嫌、美人になったなって思ってな?」 「…そ、そんな事言われましても」 「何で敬語?」 「一応は先生なので、当然かと?」 「…莉々は恋してんの?」 「は?」 「恋愛とかしてんのか?」 「…まあ、それなりにはしてきましたけど? 玲先生には関係ない事ですよね?」 「莉々はあの約束忘れたんだ?」 「…昔のことでしょ?」 莉々が少し声のトーンを落としてそう告げると、玲はフッと微笑むと頬をムギュっと引っ張る。 「な?!」 「…覚えてるくせに変な態度取るな」 「やめてよ? 顔よがむでしょ?!」 「ふぅん? まあ、確かに美人が台無しか」 玲はフッと微笑むと、両頬を軽く擦ってやる。 「…玲くん、何処に居たの? 急に引っ越しちゃったし連絡取れなくなったでしょ?」 「うん、そうだったな」 「…何かあったのかと思ったんだよ?」 「急な転勤でね? 連絡取れなくなってしまったんだ」 「そうだったんだ」 莉々が俯きながらそう告げると、玲は頭をポンポン撫でてくる。 「また、会えたし俺は嬉しいけど… 莉々は嬉しくない?」 「…ビックリしてるよ」 「湊生は元気か?」 「元気にしてるわ。 彼女も居るみたいだし」 「フッ マセてるのは健在か」 玲が可笑しそうに笑うと、昔の笑い方と同じで莉々は思わず見惚れていた。 「あ、授業…」 「フッ 莉々、連絡先教えといてよ?」 「え?」 「ほら、携帯貸して?」 「…何で持ってるの知ってるのよ」 「持ち歩くだろ、学生は」 「そうだけれど…」 莉々はポケットから携帯を取り出すと、玲はニッコリ微笑むとアドレスを登録していた。
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