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(ふぅん? 莉々ちゃんの初恋の人な訳か… 競い合いには丁度いいかもな) 佐月はそんな風に考えながら、玲の居る保健室を覗いていたが莉々達を追いかける事にした。 それから、昼を食べてから午後の授業であったが莉々は何処か上の空だった。 「莉々ちゃん?」 「…滝くん?」 「ふふっ どうしたの? 授業中ずっとぼんやりだったよ」 「あ、うん? ちょっと懐かしい人に会ってぼんやりしちゃってた…」 「ふぅん?」 「あれ? 捺芽くんは?」 「日直だから日誌を職員室に持っていったよ?」 「あ! 日直やってない」 「フッ 全部、捺芽がやっていたよ? 上の空だったからね」 「うぅ… やっちゃった」 莉々は申し訳なさげに項垂れていたが、佐月はこんな事を言ってくる。 「莉々ちゃん、俺も本気でアタックしてもいいかな?」 「え?」 「莉々ちゃんとデートしてみたいな? ダメ?」 「滝くん、本気ですか?」 「いつも本気だよ? だから、話し掛けてるんだし」 「そ、そうだったんだね」 莉々はまさかそんな風に思われているとは知らなかったので、また驚いていた。 「デート考えてくれない?」 「…デートって言われたら身構えちゃうんですけれど?」 「うーん? じゃあ、練習するのはどう?」 「デートの予行演習ですか?」 「うん? それなら良いでしょ?」 「…えっと」 莉々が佐月の提案に困っていると、捺芽が戻ってきて会話を遮断してしまった。 「莉々、行こう? 映画観る約束だろ」 「あ、そうね? 滝くんまたね」 「…ちゃんと考えてね?」 佐月が真顔でそう告げるので、莉々はコクッと頷くと捺芽に着いていった。
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