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「莉子ちゃん、気になったんだけどさ?」 「ん? 何かな、神門くん?」 「それ… 名字なのは何で?」 「え?」 「付き合ってるなら、普通は下の名前じゃないのかなって?」 「あ、そうだよね? でもまだ付き合い始めたばっかりだしゆっくりでも良いかなって」 「…呼んで欲しいのだけどな」 陽風がボソッとそう告げると、莉子はニッコリ微笑むとギュッと抱きついた。 「神門くん、可愛い」 「莉子ちゃん、まだ校内だよ?」 「関係ないでしょ? 付き合ってるんだから」 「それはそうだけど? 莉子ちゃんが他の子に呼び出されたら嫌だからさ」 「ふふっ その時はその時だよ?」 莉子は楽しそうにそう告げると、陽風から離れると靴に履き替えていた。 「莉々」 「ん?」 「何観たいんだ?」 「あ、映画館着いてたんだね? そうだな…」 莉々は悩んでいる様子だったが、捺芽はフッと微笑むとこう告げる。 「日直サボったからホラーね?」 「え?! 怖いから無理だよ」 「もう買っちゃったし? 日直の件はこれでチャラね」 「うぅ… 捺芽くん、意地悪だ」 莉々は本当に嫌そうにしていたが、飲み物を買ってからスクリーンに入った。 隣で不安げに予告を見つめている莉々を見ては、捺芽はついクスッと笑ってしまう。 「捺芽くん」 「何?」 「日直ありがとうね?」 「いいよ? 別に黒板奇麗にするだけだし」 「日誌も書いてくれたし」 「大した作業じゃないって?」 「…うん? でも、ありがとうね」 莉々はそう告げると、薄明かりの中ニッコリ微笑むとまたスクリーンを見つめていた。
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