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この物語の主人公は、モテる容姿なのに何故か直ぐに振られてしまうといった残念な美人だ。 秋月莉々は、幼い頃の幼馴染みとの約束の夢を見ているのか幸せそうに眠っていた。 (リリちゃんが大人になったら、お嫁さんにしてあげる) (ホント? アキラくん、約束だよ?) (うん、もちろん) どうやら、7個年上の水瀬玲とは小さい頃よく遊んでいてこんな約束事を交わしたらしいのだ。 (約束に…してあげる) (え? 今、なんて言ったの?) 小さい莉々が首を傾げながらそんな風に質問していると、玲は唇に軽くキスしてきたのだ。 「…?!」 莉々はあんまりにビックリして飛び起きると、目覚ましが丁度鳴って余計に飛び跳ねた。 「はぁー 何て夢を… 嫌、現実にあった奴だった」 莉々はそんな風に独り言を呟いていたが、洗面所で顔を洗うと制服に着替えてからメイクを軽く施した。 「うん、こんなもんかな」 莉々は支度を素早く済ませると、朝食とお弁当を作るべくキッチンへと向かった。 「うーんと… 玉子焼きとウインナーに野菜系と唐揚げかな」 「莉々、はよ」 「わっ?! 捺芽くん?」 「うん、おはよう」 「おはよう? えっと、どうして家に?」 「ふふっ 莉々の朝食食べに来た」 「そ、そう? 目玉焼き派だったよね」 莉々がそう尋ねると、高瀬捺芽はニッコリ微笑むとギュッと抱きついてくる。 「な、何?!」 「莉々、可愛い」 「嫌、離れてね? 作らないよ?」 「ぬっ… 朝食は欲しいが抱きついときたい」 「ふぅん? なら、朝食要らないね」 莉々がそう告げると、捺芽はパッと離れるとカウンターテーブルの方に座っていた。 高瀬捺芽は隣に住んでいるもう一人の幼馴染みだ。 でも、別に私に興味があるとかそんなのではない。
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