3人が本棚に入れています
本棚に追加
日誌を取りに行った二人は、日直の作業を素早く済ませると1限目の準備をしていた。
「捺芽くん、1限目なんだっけ?」
「フッ
莉々の好きな数学」
「あ、そっか」
莉々は真顔でそう告げると、捺芽は隣の席から様子を窺っていた。
「捺芽くん、何?」
「うん?
莉々、可愛いから見てるんだよ」
「…そんなに見なくていいから」
莉々は窓の方を向いてしまうのだから、捺芽は詰まらなそうに右肩をツンツン突いていた。
「もう、捺芽くん?!」
「フッ
やっとこっち向いた」
「もう、悪戯ばっかりだとデートやめるよ?」
「なっ?!
それはやだ」
「なら、やめて」
「うぅ…
莉々、せこい」
「今、デートって聞こえたけど…
二人って付き合うの?」
「莉子、違うから」
「ふぅん?
なら、捺芽くんがおねだりしたのね?」
「わ、悪いの?
莉子さん」
「ううん?
莉々、楽しんでね」
「もう、莉子ったら…」
莉々はそんな風に呆れていたが、数学の先生がやってきて授業が普通に始まった。
「んー
次は家庭科だったよね」
「莉々の得意分野じゃない?」
「エプロンと三角巾持ってっと…」
「今日は何作るんだろうな」
捺芽がニッコリ微笑みながらそう告げると、佐月も寄ってきた。
「莉々ちゃんの手作りなら男子は皆食べてみたいだろうね~」
「滝くん、また来たの?」
「莉子さんは邪魔するのが趣味なの?」
「違うけれど?」
「なら、好きにやらせてもらう」
佐月はニッコリ微笑むと、莉々の隣を歩いて移動するのだから莉子もお手上げだ。
「莉子ちゃん?」
「あ、神門くん?
次体育なの?」
「うん、莉子ちゃんは家庭科かな?」
「えぇ、そうなの」
「期待してもいい?」
「え?」
莉子がビックリしていると、陽風はニッコリ微笑むと耳元でこう囁いた。
最初のコメントを投稿しよう!